作中の時間経過 / PARAMUSHIR考察
※ネタバレを含んでいます※
5/5 追記、修正しました。
一度観劇しただけでは分かりにくい作中の時間経過を、史実の中に入れ込み、時系列順に並べてみました。
関連書籍やwiki*1の記述などから考察しています。
関連書籍に関してはダ・ヴィンチでリーダーがオススメしていた本*2の記述を優先しています。
以下を踏まえてご覧ください!
- 黒い文字は史実。
- 緑の文字が作中の出来事。
- 青い文字は作中で解消できない疑問、不明点。
- 今回は出来事を時系列順に並べるという趣旨から、あえて疑問点を解消するための解釈をしています。
- 日本標準時を使用。(真上のカムチャッカとは時差が3時間)
- 推測の起床と就寝の時間も入れてあります。*3
- 四嶺山は最後にチハがいる場所。作中に出てくる地名や地域、建物にピンを打った地図がこのページの一番下にあります。
- 長いです!
‖ 目 次 ‖
当日までの関連する出来事
1905
5.27〜28 日露戦争でのバルチック艦隊との海戦(小宮父)
1938
2.9 モダン・タイムス日本公開
1939
5.11〜9.16 ノモンハン事件 (水島)
1941
12.8〜 太平洋戦争、フィリピンの戦い(缶詰工場の女の子の父)
1942
5.10 フィリピンの戦い集結(缶詰工場の女の子の父)
8.7〜 ガダルカナル島の戦い(桜庭)
1943
2.7〜 ガダルカナル島から撤退(桜庭)
1944
10.?~ フィリピンの戦い(缶詰工場の女の子の父)
1945
3.10 東京大空襲(桜庭の家族)
7.14〜15 北海道空襲
8.14 日本がポツダム宣言を受諾
作中の時間経過
1945
8.15
3時:起床
12時:玉音放送
- 田中→聞き取れず。
- 矢野→山下と会話。「何が負けただ、そんなことはありえん」
- 水島隊→聞き取れす。「耐え難きを耐えて、頑張るんだ。忍び難きを忍んで、頑張るんだ」
- 小宮→上官(大佐)から聞かされる。
疑問点の解釈1
缶詰工場の女の子たちの発言、
「今日は缶詰の操業が停止されたんです。」
「ラジオを聴けって言われて、でも、なんにも聞こえなくて。」
という言葉を元にすると桜庭さんたちの日時は15日。
しかし、その後の水島隊には小宮さんが
昨日8月15日、陛下はポツダム宣言を受諾した
と伝えるているため16日となり、桜庭さんのいる病院と時差が生まる。その後の水島さんは実際に女の子たちの歌声を聴いていないことになる。
ただ、ポツダム宣言受諾日は正確には8月14日。そちらを優先すると時差は解消される。
- 桜庭→女の子たちが慰問に来る。「あの人だかりは?配給か?」と一度捌ける。
- 矢野→武装解除を妨害。
- 小宮→柏原から占守島に移動。各部隊に終戦を知らせる。
- 水島→小宮さんから終戦を知って泣いて脱ぎ始め、うずくまる。
- 桜庭→終戦を知って戻ってくる。女の子が桜庭さんに花を渡し、幌筵島の唄を歌う。
- 水島→遠くから聞こえる歌に顔を上げる。
- 田中→息子の写真が届く。
17時:消灯、就寝
8.16
3時:起床。これ以降各部隊が終戦を知らされ、武装解除が始まる。
疑問点の解釈2
昨日8月15日、陛下はポツダム宣言を受諾した
この小宮さんの発言の、「昨日8月15日…」という日付だけを元にすると、16日の出来事となる。缶詰工場の女の子たちの発言を、16日として矛盾のないよう解釈することもできる。
「今日は缶詰の操業が停止されたんです。」
「(昨日は、)ラジオを聴けって言われて、でも、なんにも聞こえなくて。」
- 宮崎中将が朝から酒を飲む。
- 桜庭→女の子たちが慰問に来る。 「あの人だかりは?配給か?」と一度捌ける。
- 矢野→武装解除を妨害。
- 小宮→柏原から占守島に移動。各部隊に終戦を知らせる。
- 水島→小宮さんから終戦を知って泣いて脱ぎ始め、うずくまる。
- 桜庭→終戦を知って戻ってくる。女の子が桜庭さんに花を渡し、幌筵島の唄を歌う。
- 水島→遠くから聞こえる歌声に顔を上げる。
- 田中→息子の写真が届く。
17時:消灯、就寝
8.17
3時:起床。武装解除の続き。
〜22時 : 戦車第11連隊第3中隊では羊羹やお酒などで晩餐をした。(この日は定時に就寝せず、宴が続いたらしい。)
- 水島、小宮→クマ肉と羊羹、みかんの缶詰とお酒で宴。
- 田中→ハーモニカでふるさとをふく。
22時45分ごろ:占守島の北端にある国端崎がロパトカ砲台より攻撃を受ける。
23時35分:再びロパトカ砲台より25分間の砲撃を受ける。
8.18
0時30分ごろ:砲兵隊が15cmカノン砲の攻撃許可を申請。(ロパトカ岬の砲台を攻撃するため)
23時頃:国端崎で占守海峡の敵艦発見。
1時10分:ソ連軍先遣隊が進入、上陸部隊が竹田浜に殺到。
- 田中→竹田浜から小宮(水島)に無線、撃つなと言われる
- 桜庭→缶詰工場の女の子たちが非常呼集。根室と占守島に渡るための独航船を用意。缶詰工場の女の子たちの避難が完了するのはこの時から1日(19日未明まで)はかかる、と後に桜庭が言う。
2時ごろ:ソ連軍先遣隊が上陸完了。堤師団長は各部隊に戦闘配備命令。
- 作中では2時40分の旗が振られる
- 準備の整った者から出撃、5時に天神山に集結命令。
- 桜庭含む病院の3人→占守島に到着
- 小宮、矢野→チハの出撃準備。矢野は燃料を掘り出す。
- 水島→隊の3人を幌筵島に逃がす。
- 小宮→上官の大佐に「"名を挙げて"帰ってこい」と言われる。
- 田中以外の4人→残ったチハに乗り合わせて出撃。
4時:戦車第11連隊が千歳台から出動。天神山で打ち合わせ。
5時30分:戦車第11連隊が四嶺山に向けて天神山を出撃。
- 田中→前線から逃げてきてチハに出会う。
- 田中以外の4人→「天神山は過ぎたのか?」という小宮さんの発言から、ある程度占守島を北上したチハ。
- 全員で田中の来た道を辿り竹田浜を目指す
5時30分ごろ:四嶺山一帯で白兵戦。
■ PARAMUSHIR作中ではここが冒頭のシーン。
- 30人の疲弊した歩兵と戦う。
- チハは3km先に前線がある場所で擱座。四嶺山付近だと思われる。(50年後の慰霊祭の位置から)
- 小宮→気絶
- 水島→敵を伺う
- 矢野→砲塔から出てくる
- 桜庭→斥候、最後に手榴弾を投げる
- 田中→敵を連れてくる
『命があったらまたここで会おう』→突撃
7時ごろ:四嶺山奪還(以後、散発的な戦闘が続く)
■ 冒頭シーンを飛ばした後、再びチハの周りに集合し語り合いを始める。
- 途中矢野が3時間気絶する。その間に桜庭さんが斥候に行き、戻ってくる。
- 「16時に停戦」と軍使に伝えられる。史実より軍使が通りかかるのが早い。(下記参照)
- 水島の過去。
- 桜庭の過去。
- 小宮の生まれ。
- 田中の境遇。
- 矢野の除霊。
- 軍師が「16時に停戦」と師団命令を伝える。
14時ごろ:「16時に停戦」の師団命令を携え、軍使が旅団司令部を出発。
16時半:史実ではこの時間に缶詰工場の女子従業員が出航。
18時ごろ:四嶺山の近くを軍使が通る。(資料の本を返却してしまったため正確な時間は確認出来てませんが、日暮れごろ四嶺山を通りがかってるはず。ちなみに今年の8月18日のカムチャッカの日の入りは日本時間で6時ごろ。)*4
■ 白旗の演出の後、束の間語り合う。
- 5人の生まれ。
- キャッチボール。
- 朝までここで食い止める、と決意。
19時ごろ:軍使が占守街道を前進。
■クライマックスシーン突入。
- 5人が前線から撤退してきた兵と合流
8.19
朝:散発的な戦闘は続いたまま。
- 5人による最後の突撃。「船は、出たかな」「朝になった、もう出航してるはずだ」
8.21
21時:日本軍の降伏
8.23
武装解除。
出港から5日後、缶詰工場の女の子たちが根室に到着。
10月中旬〜12月頭
生き残った将兵はシベリアへ抑留。
1947〜1956
抑留された人々がシベリアから帰国*5
1995
7.25〜27 慰霊祭*6
■慰霊祭
- 11時に四嶺山付近だと思われる場所で慰霊祭。
地図&足取りの考察
作中に出てくる地名や地域、建物にピンを打ちました。合わせて足取りの考察もしてあります。
最後になりましたが何人ものフォロワーさんのセリフの記憶を元に考察をさせていただきました。ありがとうございます!!